「詰め込み」と「ゆとり」の狭間で


 次期学習指導要領の「審議まとめ(案)」が、8月1日に開かれた文科省教育課程企画特別部会で示された。「社会に開かれた教育課程」の実現を掲げ、「アクティブ・ラーニング」(AL)の視点から学習過程の改善方策が示された。

 現場での対応は「脱ゆとり教育」、学校で教える内容、総量はこれまで通りで、という。明治政府は先進国に「追いつけ、追い越せ」と「詰め込み教育」を行う傍ら、人間のあり方「教育勅語」も教育の根幹に据えていた。

 戦後、米国流の「ゆとり教育」が導入されると、それまで、教育の根幹となってきた「教育勅語」など心の原点、伝統を重んじる姿勢までも、「軍国主義的だ」という理由から教育の現場から姿を消した。

 「ゆとり教育」が進んでくると「もっと知識や基本を教えろ」という世論が高まり、知識を大量に教えた。学歴社会、受験戦争が激しくなると、学業について行けない「落ちこぼれ」が生じ、学校が荒れた。これを解決するために「教育にゆとりを」という世論に乗って、舵(かじ)を切ると「学力が下がる」と反対する。世論によって教育の指針が左右されてきた。

 大阪市淀川区にある「学校法人塚本幼稚園幼児教育学園」(籠池泰典園長)は戦後置き去りにされてきた教育の根幹を取り戻そうという教育を行っている。安倍晋三首相夫人の昭恵さんも同園を訪れ、朝礼において、教育勅語の朗唱、国歌“君が代”を斉唱する子供たちの姿に感動したという。

 同学園の教育方針は「先人から伝承された日本人としての礼節を尊び、それに裏打ちされた愛国心と誇りを育て、すべての子供が持っているたくましい生命力と包容力を指導者が明るい表情と態度と言葉で引き伸ばしていく教育を誠実に心を込めて実践しています。子供と父母共に人間力が高まります」という。(和)