背番号51の45歳。米大リーグ・マリナーズの…


 背番号51の45歳。米大リーグ・マリナーズのイチロー選手の7年ぶりの日本でのプレーは、快音は聞かれなかったが右翼の守備では見せ場を作った。東京ドームでアスレチックスと対戦する開幕戦(20、21日)を前に行われた巨人とのプレシーズンゲーム(17日)。

 一回、巨人の坂本勇人選手の大飛球を斜め後方に追い、フェンス際で走りながら体をひねって好捕。直後に両手でフェンスとの激突をカバーする技術の高さを見せ、4万6000人超の観客を沸かせた。

 だが、バットの方は3打席とも凡退に終わり、オープン戦では21打席無安打が続く。来日の記者会見では引退時期を突っ込む質問が米メディアから出たが、「それは僕にも分からない」と軽く受け流した。

 レジェンドは大リーグで、オープン戦で26打席無安打の年に、シーズン200安打超の成績を残したこともあるから、今はただプレーを静かに見守りたい。話は飛ぶが、女優の故杉村春子さん(文学座)は娘役から老婆役まであらゆる年齢の女性を見事に演じ分けた名優として知られる。

 そのコツをある対談で、走る演技を例に語っている。「いちばん若いときは、アゴで走るんです。次は胸から。その次は膝から。最後は腰から走る」のだと。

 その伝でいくと、昨日の小紙スポーツ面に掲載されたイチロー選手の大飛球好捕の写真は、アゴで走っているところをよくとらえている。そのプレーの若々しさに期待をかけたい。