世界日報 Web版

半導体やコンピューターなど日本のハイテク…


 半導体やコンピューターなど日本のハイテク産業が目覚ましい発展を遂げたのは1970~80年代。村山裕三著『テクノシステム転換の戦略』によると、官民が協力して技術発展の方向を見定め、その産業政策が実行に移された。

 この間、わが国では江崎玲於奈氏が自身で発明したエサキダイオードでノーベル物理学賞を受賞。日本人が手掛けた半導体関係の基礎研究の成果も大いに発揮された。

 また、後の人工多能性幹細胞(iPS細胞)やがんの免疫療法の開発に通じる基礎研究に対し、政府の息の長い支援強化が始まったのも80年代。政府が資金を投入し、大学・研究機関が研究成果を発揮する。産業界も含め、いわゆる産官学の連携がうまくいっていた。

 ところが、その後、日本の半導体産業が力を失い、米国を中心に通信技術の分野の発展が顕著になると、日本を取り巻く技術環境は一変。日本が取り組むべき具体的な技術が見えにくくなり、他国の企業との競争でも少なからず苦戦を強いられている。

 実はこの時期が、今盛んに言われる日本の科学研究力や基礎研究の失速の時期と重なっている。大学の基礎研究の低下が、決して大学だけの問題として克服されないことははっきりしている。

 通常国会では、柴山昌彦文部科学相が2019年度科学研究費の増額の決意を語った。政府や企業のバックアップ体制の強化を望みたい。基礎研究の充実が社会イノベーションの源である。