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「覇権主義に反対する」「わが国は国際秩序の…


 「覇権主義に反対する」「わが国は国際秩序の擁護者だ」。中国が改革開放政策を開始して40年の記念式典での習近平国家主席の演説である。よく言うよ、と思う。

 途上国のインフラ整備に資金を貸し、借金漬けにして、その利権を取り上げる。これが覇権主義以外の何なのか。南シナ海の島々の領有権を主張し、それを否定する仲裁裁判所の判決を「紙くず」と言って無視することが、国際秩序の擁護なのだろうか。

 ニクソン元大統領とキッシンジャー元国務長官をはじめとした米国の指導者たちは、中国が改革開放へ舵(かじ)を切り、資本主義的なルールを取り入れて経済発展すれば、自然と政治の民主化も進むであろうという予測のもとに支援してきた。

 それから40年しないうちに、中国は日本を抜いて世界第2の経済大国となった。しかし民主化は一向に進まず、古来の皇帝政治に限りなく近づこうとしている。さらには、イスラム教徒のウイグル人への弾圧は激しさを増し、キリスト教地下教会への締め付けも強まっている。

 米国は対中政策の誤りにようやく気付いた。ペンス副大統領の10月の演説は、米国で中国観と対中外交の大きな転換が起きていることを示している。

 ある自衛隊OBが言った。「中国が韜光養晦(とうこうようかい)をずっと続けていたら、日本も米国ももっと大変なことになっていた。習主席が図に乗って牙を見せたのは失敗だった」。革命第1世代の鄧小平であればそうはしなかったと言うのである。