一年納めの場所である大相撲九州場所は3横綱…


 一年納めの場所である大相撲九州場所は3横綱不在となっても土俵は連日、満員御礼の垂れ幕の下で熱戦を繰り広げた。賜杯争いは千秋楽(25日)までもつれ込み、2敗で並んだ大関高安が敗れたため、小結貴景勝(本名・佐藤貴信、千賀ノ浦部屋)が場所を初めて制した。

 相撲の起源は神話時代にさかのぼり、奈良時代初期の「古事記」にあるのが最古の記録とされている。戦国武将の織田信長の時代には、相撲好きな信長が大会を開き、優秀な成績を残した者を召し抱えたり褒美を与えたりしたことが伝えられている(「信長公記」)。

 貴景勝の本名の貴信は、父親が信長と自らが熱烈なファンだった貴乃花親方(元横綱)から1字ずつ取って名付けたもの。貴信少年も小学4年の時に貴乃花部屋の相撲教室に参加して以来、大きな影響を受けてきた。

 兵庫の中学生時代に全国中学校選手権、埼玉栄高では世界ジュニア選手権を制覇と頭角を現してきた。高校3年で貴乃花部屋の門をたたき初土俵を踏んだ。

 今場所の前には突然、親方が日本相撲協会との軋轢(あつれき)から退職。部屋を移籍したばかりだったが、動じることなく、低い姿勢から突き押し上げて前に出る相撲を貫いた。

 初日に横綱稀勢の里戦で一歩も引かずに勝ち、後に横綱を休場に追い込んだ一番の印象が残る。新師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が「度胸はすごい」と褒める22歳。表情に少しふてぶてしさを醸す新ヒーローの登場である。