NHK大河ドラマ「西郷どん」(林真理子原作…


 NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」(林真理子原作・中園ミホ脚本)が、低迷からなかなか抜け出せない。西郷隆盛という題材を描きながら、その面白さを引き出せていない。歴史の流れも見えてこない。

 戦闘シーンが描かれてはいるが、誰と誰が、何のために闘っているのか伝わってこない。歴史ドラマとホームドラマの両面を描こうとする意図は分かるが、うまく噛(か)み合っているとは言えない。

 大河ドラマは半世紀以上も前、歴史ドラマとして始まったが、ここ四半世紀ぐらいでホームドラマ的な要素が徐々に大きくなった。今作の話ではないが、「××(著名な歴史的人物)の妹」という設定を無理矢理作るなどして、女性を描くこともあった。

 だが、歴史ドラマとホームドラマの関係は、それほどシンプルではないようだ。戦国時代であれ幕末維新であれ、大きな歴史的事件の連続は、ホームドラマの要素を破壊するように働くことが多い。

 今作についても、150年前の女性が21世紀のように「反戦感情」を強く持っていたとは到底思えない。それはドラマのリアリティーの問題にも関わってくる。

 2度ほどドラマを休んで、関連バラエティー番組を放送したこともあった。それはそれで面白かったが、制作進行に苦しんだ様子は読み取れる。主役の西郷を演じる鈴木亮平さんが頑張っているだけに残念だ。こうしたドラマの作り方も、ボチボチ考え直してもいいのではあるまいか。