夜遅く東京・新宿のラーメン店に入り…


 夜遅く東京・新宿のラーメン店に入りカウンターで料理が出てくるのを待っていると、隣に黒人の青年が座った。メニューを見ながら思案している風で、注文を取りに来た店員に、英語で「豚肉の入っていない料理はどれか」と聞いている。

 店員は何を言っているのか分からないようで店長を呼んだが、店長も要領を得ない。仕方がないので、この客がイスラム教徒であることを確かめ、事情を説明。フランスから来たという青年は鶏肉料理を注文して一件落着した。

 以前、来日したウズベキスタン人女性と会食した際、肉を一切口にしなかった。日本は魚がおいしいからと言っていたが、実はそうではなかった。後で分かったことだが、彼女はイスラムの食物の禁忌「ハラル」を厳格に守っていて、定められた方法で処理された肉以外は食べなかったのである。

 日本に来るイスラム教徒で、ここまで厳格にハラルを守る人はごく少数だろう。しかし、豚肉はまず食べない。イスラム留学生にラーメンを御馳走しようと思い、煮干し出しのラーメン店に連れて行ったことがあるが、結局隠し味にラードを使っているとのことで、食べずに出てきたことがある。

 ここ数年、インドネシアやマレーシアから来たと思われるスカーフ姿の女性をよく見掛けるようになった。

 2020年東京五輪を前に、飲食店の受動喫煙対策強化など受け入れ体制の整備が進んでいるが、ハラル対策も急ぐ必要がありそうだ。