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振り込め詐欺などの特殊詐欺で摘発される…


 振り込め詐欺などの特殊詐欺で摘発される未成年者が急増し、今年上半期に摘発された少年のうち約73%は現金受け取り役の「受け子」だったという。

 振り込め詐欺の集団を犯罪のシンジケート……というと大仰かもしれないが、犯罪集団に若年者がだまされ、とかげのしっぽ切りに使われることほど、惨めなこともない。言葉巧みに誘われ、そそのかされるのだろう。

 筑波大学の土井隆義教授(犯罪社会学)は「閉塞した人間関係の中で生活しているため、自分の居場所はそこにしかないと思い、誘いを断れない少年が増えている。人間関係を広げる環境づくりが大事になる」と指摘している。

 教授は言わないが、その指し示す方向は明らかに家庭のありよう。家庭の教育をしっかりせよと保護者を叱咤(しった)している。職場で上司や同僚との円滑な関係を築く知恵や情操は家庭教育で自然と身に付くし、子供を育てる母親から人を愛することを学ぶ。

 ところが両親の離婚を経験する未成年の割合は、この40年間で約5倍、今や子供の5人に1人が成人するまでに親の離婚を経験するという時代になった。結婚や離婚が当事者2人だけの約束事となってしまい、家庭というものの役割が忘れられている。

 1970年代、中学生が作った川柳「親を見りゃボクの将来知れたもの」が世に知られた。父親不在や受験競争の弊を衝(つ)いた作品だが、現在は父親不在に加え、家庭不在が顕著だ。悲し過ぎる。