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奈良県桜井市にある纒向(まきむく)遺跡は…


 奈良県桜井市にある纒向(まきむく)遺跡は、弥生時代末期から古墳時代前期にかけての集合集落遺跡で、日本最初の都市とも言われている。三輪山の北西麓にあって、東西約2㌔、南北約1・5㌔。

 中央ほぼ北寄りに大型建物跡があり、庄内式土器が使われ始めた頃に突如として現れた。九州、山陰、吉備、東海、関東に至る各地の土器も持ち込まれた。韓式土器まであったという。

 大型建物跡の南側にあった「土坑」から2010年、約2800個のモモの種が出土して、現地説明会には約2000人の考古学ファンが集まった。関心を集めた理由は、ここが邪馬台国の最有力候補地だからだ。

 出土したモモの種について、桜井市教育委員会の纒向学研究センターはこのほど、放射性炭素年代測定をした結果、西暦135~230年のものとみられると発表した。248年ごろ没した卑弥呼の活動時代と重なる。

 モモは古事記にも登場し、イザナギノミコトが黄泉に妻イザナミノミコトを訪ねた際、黄泉軍に追われたが、モモの実を投げて退けたという。モモは祭祀(さいし)に使われたらしい。奈良県北葛城郡の牧野古墳からも出土している。

 モモには邪気を払うという民間信仰があり、平安時代には卯槌(うづち)、桃弓などが魔除(よ)けに用いられた。今に伝わるのは、モモの実から生まれた桃太郎が鬼退治をする説話だ。モモは縄文期の長崎県・伊木力遺跡からも出土しているから、魔除けの由来は太古にさかのぼるのだろう。