「天災は忘れた頃にやって来る」の警句を…


 「天災は忘れた頃にやって来る」の警句を発した物理学者の寺田寅彦。明治政府の委嘱で海水振動調査をしたり、伊豆大島の三原火山を調べるため火口原の一隅でテント生活をしたりと、行動する科学者であった。

 寺田は「日本のような特殊な天然の敵を四面に控えた国では、日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然」(『天災と国防』)と。自然の猛威に対し、昨今のメディアには「記録的な……」という見出しが躍るが、常日頃から「災害列島」の自覚こそ必要だ。

 総務省消防庁は16日、日本海側を中心とする断続的な大雪で、東北と北陸の死者が22人、負傷者は320人になったと発表した。大雪にどう対応するか分からなかった住民が少なくなく、除雪作業中に亡くなったケースが目立つ。

 しかも福井県の南北をつなぐ大動脈の国道8号では最大1500台の車が立ち往生。約24㌔が一時通行止めとなり、解除に3日かかった。

 この地域は、平成26年に舞鶴若狭自動車道が開通するなど最近、交通事情が大きく変化した。にもかかわらず、大雪対策が不十分で雪道に不慣れなドライバーの危機感が薄かったことが混乱の一因とみられる。

 翻って東京では防災のため建築物の耐久力強化が進んでいるが、インフラなどの整備が進んだ街全体の安全度を示す秤は案外見当たらない。「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増すという事実」を寺田は指摘している。