「2番じゃダメなんですか?」の発言で失笑を…


 「2番じゃダメなんですか?」の発言で失笑を買ったのは、民進党前代表の蓮舫氏。8年前の発言だが、コンピューター開発競争がいかに熾烈(しれつ)で、世界で国力を懸けつばぜり合いが演じられているのかご存じなかったのは、政治家失格と言うべきだ。

 ところが、技術は日進月歩。今日では、当時とシステムが異なる量子コンピューターの開発で、各国とも以前に倍する投資が行われるようになった。

 中でも欧米先進国と中国が目立つが、最も活発な中国では、量子情報を国の4大重点科学技術の一つに位置付け、中国科学院に量子計算実験室を設置している。

 こうした中、このほど東京大の古沢明教授らが、光のパルスを操作して大規模な計算を効率良く行う光量子コンピューター方式を考案し、米物理学誌に発表したというニュースが飛び込んできた。快哉(かいさい)を叫びたい。

 量子コンピューターは0と1を重ね合わせた「量子ビット」を単位とし計算処理性能が飛躍的に高くなるが、現在の装置は大き過ぎて多数をつないで計算するのが難しい。古沢教授らは、電子などの極めて小さな世界で起こる物理現象を利用し、そのコンパクト化を図る方式を考え出した。

 ただし手放しでは喜べない。日本は以前からこのような基礎研究で存在感があるが、実用化に向けた資金面では大差がついている。今回の成果の早期の実用化を、いかに国がバックアップするか。政治の決断の早さがカギを握っている。