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米国のニューイングランド地方にあるアン岬…


 米国のニューイングランド地方にあるアン岬周辺は風景の美しい土地である。入り江、湾、岬、半島、島などが複雑な地形を造り、陸地の森と接している。グロスターもそのような湾に形成された港町だ。

 創立は1623年で、植民者たちが漁場を求めてやって来て、魚の乾燥場を造ったのが始まり。大通り脇にある、船上で舵(かじ)を取る漁師をモデルにしたブロンズ像「舵を取る男」は、この町の象徴だ。

 丘の高台にあるアン岬歴史博物館には、この町の漁業史が展示されている。そして自慢のコレクションが、画家フィッツ・H・レーン(1804~65)ら画家たちが描いた港の風景画だ。

 レーンはこの地に生まれ、この地で没した。彼の業績を記念する公園があり、家も保存されている。他の土地でも港や海や船ばかり描いていたようだ。それらは水産業の歴史を伝える資料でもある。

 レーンの作品の一枚はボストン美術館の所蔵となり、今、東京都美術館で開かれている「ボストン美術館の至宝展」で展示されている。1855年ごろに制作した「ニューヨーク港」という作品だ。

 静かな港に何艘(そう)もの帆船や小舟が停泊している。蒸気船も登場した時代だ。精密な写実画で、光や大気の繊細な感触が、筆跡を残さない「ルミニズム」の技法で表現されている。19世紀後半の米国絵画独特の様式だ。レーンは日本ではまったく知られてこなかったが、米国を知る上では重要な人物の一人なのだ。

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