「日の出より蝉鳴くまでの読書かな」(広瀬…


 「日の出より蝉鳴くまでの読書かな」(広瀬美津穂)。暑い日が続くにもかかわらず、なかなかセミの声を耳にしないと思っていたら、ようやく先日の朝方聞こえてきた。それも、ミンミンゼミだったので驚いた。

 その年初めて聞くセミの声を俳句では「初蝉(はつぜみ)」というが、だいたいはアブラゼミやニイニイゼミ。ミンミンゼミはその後、夏の真っ盛りに聞こえてくるのが普通だ。

 今年は初夏から高温の日が多く、異常と言っていい。とはいえ、ミンミンゼミは数日して聞こえなくなってしまった。強い日差しの中を歩いていると、セミの声がバックミュージックのように聞こえてくる。

 雨や風などから神々の意思を感得するのが日本文化。「雪は天からの手紙」と詩的に表現した物理学者・中谷宇吉郎は有名である。ならば、夏のセミは「天からの声」といったところか。うるさいほどの声だが、それが騒音ではなく音楽のように感じられるのは不思議である。

 「不幸なる人より暑中見舞かな」(森白象)。そろそろ暑中見舞いを出さないといけない。年賀はがきと暑中見舞いくらいは、忘れずに送りたいものである。

 毎月23日は「ふみの日」。これは「ふ(2)み(3)」の語呂合わせからきている。昭和54(1979)年、郵政省(現在の日本郵政グループ)が実施したことが始まり。なおかつ今月は旧称が「文月」でもあり、きょうは「文月ふみの日」とも特別に呼ばれ、イベントなども予定されている。