「ドロボー」の証拠を現場グラビア写真で…


 「ドロボー」の証拠を現場グラビア写真で突き付け、10㌻の大特集を組んで「週刊文春」を「スクープ泥棒」だと告発した「『文春砲』汚れた銃弾」(週刊新潮・5月25日号)。

 状況証拠を積み重ねた疑惑リポートから推認される印象は<限りなく黒に近い灰色>だ。明白なのは、文春側が新潮の中吊(なかづ)り広告を取次会社から入手・コピーして持ち帰っていたこと。

 新潮はその事実から、文春がタイトルコピーからつかんだスクープ記事などを、校了までの数時間のタイムラグを利用して後追い取材して同着掲載に持ち込み、スクープ潰(つぶ)しなどをしてきたと批判する。

 そう断じるのに、文春の中吊り広告になかった記事タイトルが、その後に出来上がる新聞広告では入っている、いくつかのケースなどの状況証拠を突き付けた。そこから推認できる<汚い手>を告発する“新潮砲”の炸裂(さくれつ)は、相当な破壊力だ。

 すでに中吊り広告を文春に渡していた取次会社は、事実を認めてホームページ(HP)で謝罪した。文春は「情報を不正、不法に入手し、記事を書き換えたり、盗用したりした事実は一切ない」と疑惑を突っぱねる編集長名の釈明をHP上に掲載したが、これだけでは誰も納得しないのは明らか。

 元文春編集長である花田紀凱(かずよし)氏の「週刊誌ウォッチング」(産経20日付)の審判にはガッカリで、後はジャーナリスト池上彰氏の文春コラム「そこからですか!?」が何を語るか語らないかである。