昨日の新聞1面を飾る写真は、降り注ぐような…


 昨日の新聞1面を飾る写真は、降り注ぐような薄紫色の大藤の花見に繰り出す人々(小紙)や初夏の陽気の浜辺で潮干狩りを楽しむ家族連れなど。いつものゴールデンウイークの平和な風景だが、今年は可能性が僅かとはいえ、心の片隅にある一抹の引っ掛かりを持って出掛けた人もおられよう。

 連休初日の先月29日朝の北朝鮮による弾道ミサイルの発射強行を受け、東京メトロや北陸新幹線が安全確認のため一時運転を見合わせた。安倍晋三首相が外遊中だった政府も、国家安全保障会議(NSC)4大臣会合を開き、警戒監視などで素早い危機対応を行ったのは評価していい。

 核実験やミサイル発射で挑発を繰り返す北朝鮮の金正恩政権に、トランプ米政権はその阻止のため原子力空母「カール・ビンソン」派遣などで軍事的選択肢も辞さないことを示した。また中国の協力を引き出し外交、経済的圧力を強化してきた。

 今回のミサイル発射は空中爆発に終わり失敗したようだが、半島情勢の緊迫はまだ続く。発射の強行自体で北朝鮮は、米国に屈しないとする強硬姿勢や中国への不満を表明したとする専門家の分析もある。

 それでも、レッドラインとされる核実験や大陸間弾道ミサイルの発射を自制したところに、北朝鮮の慎重な計算も窺(うかが)える。日米韓は引き続き圧力を緩めず、北朝鮮に理と分のないことを分からせるべきだ。

 不測の事態への備えもあり、当局者には連休どころではない。