少し古い話になるが、気流子が特派員として…


 少し古い話になるが、気流子が特派員として英国滞在中、現地の小学校に通う子供の送迎が家族にとって結構負担だった。10歳以下の児童の登下校には保護者の付き添いが義務付けられていたためだ。

 それが日本に帰国して、子供が1人で通学するようになり、随分楽になったと感じたのを覚えている。日本は、子供たちにとって安全な国だと思った。

 しかし日本の安全も、2000年を過ぎたころから揺らぎ出した。登下校中の子供が連れ去られ、殺害される事件が相次ぎ、防犯パトロールや通学路の見守りなどの活動が生まれてきた。

 千葉県我孫子市でベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさんが殺された事件で、県警捜査本部は同市に住む46歳の男を逮捕した。男は取り調べに対し黙秘しているが、何よりショックなのは、男がリンさんが通っていた小学校の保護者会の会長だったことだ。通学路での児童の見守りにも参加していたという。

 本来、子供たちを守り、最も頼りとされ信頼されるべき立場の者が加害者であれば、子供や親は誰を信用していいのかということになってしまう。

 それでもまだ日本は比較的安全な国と言える。これからも子供が安心して通学できる国であるためには、犯罪を抑止する活動を強化し安全を脅かす芽を摘んでいかないといけない。今回の事件では、犯行の動機はもちろん、事件を生んだ社会的背景についても検証する必要がある。