地球温暖化の影響で北極圏の海氷が減少して…


 地球温暖化の影響で北極圏の海氷が減少しており、海洋酸性化や北半球の気候変動などの影響が出ている。その変化を逆手に取って、北極圏利用の主導権を狙う国もある。ロシアだ。

 一つは軍事拠点の拡大で、米議会調査局の報告によると、ロシアは旅団規模の軍による活動をこの地域で活発化させ、シベリアのヤマル半島で大規模な港の建設を計画。空軍基地の再建を進めるなど軍事プレゼンスを強めている。

 また北極海は大規模なガス田、油田が存在しているほか、希少資源が埋蔵されている可能性が高く、資源の宝庫として有望視される。ロシアは既に約40隻の砕氷船を稼働させている。

 もう一つ、海氷減少のため、太平洋と大西洋を結ぶ北極海航路の航行が可能になり、ロシアが影響力を強めている。この海域の開発をめぐっては、沿岸5カ国(ロシア、米国、ノルウェー、デンマーク、カナダ)を中心に協議されているが、実際はロシアペースだ。

 冷戦後は戦略上の優先順位が低下していたが、にわかに脚光を浴びている北極圏。地球温暖化による変化から生まれた熱い戦いとでも言うべきか。

 出遅れた米国だが、下院議員から「基本的な武器」である砕氷船を新たに建造すべきだという声も出ている。日本は北極圏との距離が遠く、国民の関心の高さはいまひとつだが、北極海航路開発の一事を取っても、通商・貿易、または安全保障への影響は大きい。積極的に対処すべきだ。