冬鳥の飛来する季節である。東京・板橋区にある…


 冬鳥の飛来する季節である。東京・板橋区にある浮間公園の大きな池にも、ユーラシア大陸から日本海を渡ってやって来た鳥たちが、疲れを癒やすように浮かんでいる。

 オナガガモ、キンクロハジロ、ホシハジロなどカモ科の鳥たちのほか、カワウ、オオバン、ハクセキレイなどもいて賑(にぎ)やかだ。先月から増え始め、だんだんと多くなってきた。数百羽いるだろう。

 ところがこの冬、青森県青森市、新潟県関川村、同県上越市など各地の農場で、家禽(かきん)が高病原性鳥インフルエンザに感染していたことが確認され、農林水産省では対策を強化している。

 来年は酉年。正月イベントの主役はニワトリで、小紙写真部の記者が都内の動物園に撮影に行ったところ、鳥類展示施設は立ち入り禁止となっていた。都内だけでなく、関東近辺の動物園でも同様の状況だ。

 農水省によると、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたのはこの夏で、渡り鳥の生息地であるロシアとアラスカである。動物たちにとって今の地球は生息環境を狭められ、劣悪となり、生きにくい場所となった。

 感染したニワトリの処分作業を写真で見ていると「被造物は、実に、切なる思いで神の子たちの出現を待ち望んでいる」という新約聖書の言葉を思い出す。感染を広めないことは重要な仕事だが、同時に鳥たちの悲劇にも思いを致す必要があるのではなかろうか。地球は人間だけのものではないのだから。