「朝日 32年後の撤回/強制連行証言は…


 「朝日 32年後の撤回/強制連行証言は『虚偽』」(読売6日)などと新聞が報じた朝日新聞(5、6日)の「慰安婦報道」特集について。朝日は自称・元山口県労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏の「慰安婦を連行した」との証言を「虚偽だと判断し、記事を取り消す」とした。

 新聞が掲載した識者の言葉から。「事実と異なる報道をすれば、どんな事情があるにせよ“誤報”にほかならない」(東京基督教大教授・西岡力氏=産経6日)。新聞で「大誤報(認めた)」と見出しを立てたのは夕刊フジ(6日)だけである。

 小紙を含め各紙は「一部記事 取り消し」で、慰安婦報道の「一部記事」としたい朝日の特集に沿って報じた。拓殖大客員教授の藤岡信勝氏は、取り消した記事を慰安婦報道の核心をなすと指摘。

 「これによって“慰安婦強制連行説”は完全かつ最終的に崩壊した」「付け火して煙り喜ぶ朝日新聞―。朝日報道への批判は燎原の火の如く広がっている」(産経8日)と糾弾する。

 朝日OBからはこんな懸念も。「一般商業紙は、政党機関紙とは違う。裏付けもしていない記事が新聞に出ているんだと読者に誤解させたことは業界全体にとっても大きなマイナスだ」(朝日元ソウル特派員・前川恵司氏=同)。

 「慰安婦らに寄り添うことも重要だが、朝日新聞はそれにとらわれ、取材の精度や中立的な配慮が欠けていた」(神戸大教授・木村幹氏=読売7日)。新聞のいろはである。