もう半ば忘れられた「事業仕分け」という…


 もう半ば忘れられた「事業仕分け」という言葉。民主党政権下で次世代スーパーコンピューター開発の予算削減で、某仕分け人が「2位じゃダメなんでしょうか?」と切り込んで逆に切り返されたことを覚えている人もおられよう。

 その手法は今や流行(はや)らない。東京都板橋区では似たような手法で、区民だけでなく都民も楽しみにしていた人の多かったホタル夜間公開が今年は中止となり、ホタル生態環境館が廃止の方向に進んでいる。

 先月末に区による説明会があった。施設の老朽化などとともに廃止理由となったのは「ホタルの生息数があまりに少ないこと」(1月の調査)という。

 説明会に参加したボランティアらは納得せず、質問は当初から指摘されていた調査手法の杜撰(ずさん)さと根拠としたデータの精度に集中した。ホタルの生息数を推定23匹(ヘイケボタルは0匹)としていた1月の調査。

 それが7月23日までのホタルの実数はヘイケ・ゲンジボタル合わせて140匹だったから。1月の調査は専門家の手法としては少し乱暴だと指摘され、ホタルの幼虫が大量に流されてしまったという。それでも成虫はこの数字。「生息数が少ない」という根拠では説得力がないことは明白に。

 説明会の質疑は平行線のまま。民主党のスパコン仕分けでは、仕分け人がノーベル賞受賞科学者から「将来、歴史という法廷に立つ覚悟」を問われた。板橋区にも環境保全への立ち位置が問われている。