小紙22日付メディアウォッチで増記代司氏が…


 小紙22日付メディアウォッチで増記代司氏が指摘した、沖縄密約文書の不開示を確定した最高裁判決を報じる15日付記事の中の誤報について。誤報は原告・元毎日新聞記者の西山太吉氏についての記述にある。

 毎日は「西山さんは、72年5月に発効した沖縄返還協定の交渉過程で、米側が負担するはずだった土地の原状回復費用などを日本が肩代わりすることにした日米間の密約を報じた」と報じた。

 だが、これは嘘(うそ)。西山氏は当時、外務省の女性事務官と男女関係を通じて公電の機密文書を入手した。これを社会党議員に渡し、国会で暴露させて問題化させた。密約をかすかに臭わした西山氏の臆測記事は「報じた」とも言えない代物(しろもの)で話題にもならなかった。

 それをご大層に毎日は「報じた」とし、コレがもとで逮捕、有罪になったがごとくに書いた。日経も「(西山氏は)外務省の機密文書を入手して密約を示唆する記事を書き、国家公務員法違反で有罪が確定」と、まるで報道したことで有罪となったと言わんばかりの書きっぷり。

 朝日は「西山さんは、初めて密約の存在を暴いた」、読売は「1971年に密約疑惑を報じた」、産経も「沖縄返還をめぐる密約の存在を報道した」と、それぞれ「暴いた」「報じた」「報道した」の表現で枕を並べる。

 ちなみに最高裁判決を報じた小紙は、西山氏が「密約を報じた」とは誤報しなかった。誤報を既成事実化させてはならない。