江戸っ子は3代続いて江戸生まれでなければ…


 江戸っ子は3代続いて江戸生まれでなければならない、という。江戸には他国から沢山の人が流入し住み着いていたため、にわか江戸っ子と区別するために言われた言葉だ。3代続いて初めて内容が備わり定着するというのは江戸っ子に限ったことでないだろう。

 新潟県・佐渡で2012年に自然界で生まれたトキの2歳雄と昨年放鳥された3歳雌のペアにひな1羽が誕生した。放鳥トキの3世誕生が確認されたのは初めてだ。江戸っ子の定義からいくと、今回誕生したひなの子供が生まれれば、完全な野生の佐渡っ子トキの誕生となる。

 12年に自然界で8羽のひなが孵(かえ)り全てが巣立った。6月に佐渡を取材した時、佐渡トキ保護センターの長田啓首席自然保護官は、自然界での繁殖は気候など外的要因で当たり外れがあるとしながらも、「繁殖に成功したペアは今後も続けて成功する可能性が高い」と翌年の春の繁殖に期待を示していた。

 昨年は14羽のひなが誕生したが、最終的に巣立ったのは4羽にとどまった。孵化数は増えたものの、巣立ちの率が厳しい結果に終わった。

 カラスに襲われたり、給餌が不足したのが原因だった。それでも、トキに「餌付けをしない」という野生復帰のための「共生ルール」は守らねばならない。放し飼いとは違うからだ。

 今年は既に孵化が確認された1羽の他に4組のぺアが抱卵中という。孵化と巣立ちまで、これからが正念場となる。