グーグル日本法人が日本の空港や駅ビルなどの…


 グーグル日本法人が日本の空港や駅ビルなどの安全に関わる図面を公開していたことが、今月になって明らかになった。社員間で情報共有のために使われた「グーグルグループ」というサービスの設定が「一般公開」になっていたことが原因だという。

 空港のフロアマップなどをインターネットで見ることができるのは便利だろう。しかし保安区域などの情報まで公開するのは、大勢の人が集まる場所でテロなどを招きかねない失態だ。図面で非公開とすべき部分を黒塗りにすることもなく提出した側に問題があるのは当然だが、グーグル側にも課題は残る。

 グーグル広報部は「心よりおわびする。再発防止に努めたい」とメールで謝罪した。しかし、いくらIT関連企業でもこうした対応は理解しかねる。問題の大きさを考えれば、本来は関係者やメディアの前で詫びるべきだろう。

 銀行の本店が重厚な店舗を構えているのは信用の証し、という話を聞いたことがある。こうした重厚さは「我々はここから逃げませんよ」ということを物語っているという。IT関連企業も今回のような場合はメールで済ますのでなく、社員が表に出て対応しなければ利用者の信頼は得られないだろう。

 紙の本は見た目で厚さが分かるし、手に乗せれば重みも伝わってくる。これに対し、電子書籍は外から眺めただけでは何も分からない。しかし、情報を提供する側の誠意はきちんと伝えてほしい。