京都市の祇園祭、岐阜県高山市の高山祭、…


 京都市の祇園祭、岐阜県高山市の高山祭、福岡市の博多祇園山笠など、日本には各地に豪華な山車(だし)や屋台が町を巡る祭りがある。文化庁はこれらのうち32件の祭りを一括して国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の候補として提案することを決めた。

 これらの祭りは共通点も多いが、それぞれが地方色を持っている。京の町衆の祭りである祇園祭は、その山鉾やお囃子などいかにも雅びな趣がある。

 一方、能登半島・石川県七尾市の青柏祭(せいはくさい)の曳山(ひきやま)は通称「でか山」と呼ばれ、高さ12㍍、重さ20㌧の日本最大のもの。この山車が町の通りを行く様はまさに「山が動く」ようで、迫力満点である。

 動かすものが大きいということもあり、しっかりした地域のコミュニティーがなければ不可能だ。祭りの多くが地域の最大の年中行事になっている。現代では弱くなりがちな地域の結束が、祭りを通して強められている。

 祭りにはまた、特別なハレの料理も作られる。スローフードに詳しい佐賀県唐津市生まれのジャーナリスト金丸弘美さんは、その著書『えんや!―曳山が見た唐津』で唐津くんちのお祭り料理を紹介している。

 これらの祭りでは、皆が心を一つにして山車を曳くことに最大の喜びを感じている。和食に続いて、曳山祭りが世界無形文化遺産に登録されれば、また一つ身近な行事の中にある、日本文化の普遍的な価値を再発見する機会になるだろう。