日本で昨年8月に公開された米映画「最愛の…


 日本で昨年8月に公開された米映画「最愛の大地」は、アカデミー賞女優アンジェリーナ・ジョリーさんが初監督を務めた作品。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を舞台にしていた。

 ジョリーさんは10年間、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使を務め、2005年に世界人道活動賞を受賞。この映画は、ジョリーさんが現地で難民の女性から聞いた話が元になっていた。

 物語はセルビア系ボスニア人警官とムスリム系女流画家との恋愛を主題にしている。2人の背景には民族的な対立闘争があり、関係は引き裂かれざるをえないという残虐な結末を示している。

 その間に描かれるのが、セルビア系ボスニア軍兵士によるムスリム系女性への性暴力だ。主人公の警官は紛争が始まると将校になっていて、捕らえられた女性たちの中に恋人を発見し、救おうとする。

 だが恋人の後ろには家族がいて、彼女は家族らを救うために将校から聞き出した作戦情報を流し、やがて発覚する。この映画に心を動かされた一人に英国のへイグ外相がいた。先頃、ジョリーさんと共同主宰で紛争時の性暴力撲滅に向けた国際会議をロンドンで開くと発表。

 開催は6月で、140カ国の外相が出席するという。軍や警察関係者、法律専門家も集い、性暴力防止に取り組むよう各国に求めることになる。映画はたくさん作られているが、政治家まで動かす作品はまれだ。