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代作をしていた人物が「聴覚障害はなかった」…


 代作をしていた人物が「聴覚障害はなかった」と証言したことを受け、聴力の回復を認めた作曲家の佐村河内守氏。それに対しサンデー世界日報2月23日号の「声のひろば」(投書欄)に「聾唖(ろうあ)者愚弄(ぐろう)する佐村河内氏」との文章が載った。60歳の時、聴力を失った東京都の67歳の男性からだ。

 男性は「私のように耳の聴こえない多くの人たちは、社会復帰のために健常者には知られない苦労をしているものだ。佐村河内さんは、そういった聾唖者たちの心情を踏みにじ」ったと批判している。

 人生途上で障害を抱えると、それまでの社会での立場が一転してしまうことが少なくない。この男性の場合、現在までの7年間は「健常者として生活を送った50余年の間の数倍、数十倍に匹敵するほど長いものであった」と苦労を隠さない。

 このような身障者の失意の思いを逆手に、世間の注目を浴び成り上がった佐村河内氏の罪は重い。今回の“事件”の一番の被害者は投稿者の男性のような人たちだろう。

 身障者は毎日の生活の中で、他人の好意を頼りに生きている。それに対し「バリアフリー」などのハード面の整備がなされ、物質面でもさまざまな段階での支援体制が整ってきた。

 ただ、身障者が望んでいるのは、特別な扱いや甘やかしではなく、その自立心や責任感、勤労意欲を高めるような精神的な励みだ。もう一段高い福祉の心が社会全体に必要だ。