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4分間の渾身の演技を終えた浅田真央選手の…


 4分間の渾身(こんしん)の演技を終えた浅田真央選手の眼に涙が溢れた。暫く涙は止まらなかったが、やがて笑顔に変わり大歓声の観客に手を振った。「笑顔で終わりたい」という浅田選手の願いは果たされた。

 ソチの応援席にいた日本人応援団、そしてテレビで観戦していた日本人の中にも、感激の涙を流した人がたくさんいた。その感動は日本人以外にも広がっている。

 前回バンクーバー五輪での雪辱を果たそうと金メダルを目指した浅田選手。しかし、前日のショートプログラム(SP)では体が動かず、まさかのミスが重なって16位と大きく出遅れてしまった。何とか気持ちを立て直し、フリーの演技ではトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めるなど、自己ベストの会心の演技を披露することができた。

 SPの失敗で戦意喪失してもおかしくない状況の中で、浅田選手を奮い立たせたのは何だったのか。「集大成」のスケーティングへの決意とともに「これまで支えてくれた人々への恩返し」の気持ちがあった。

 見ている方も、浅田選手が素晴らしい演技を終え、最後に笑顔を見せた時の感動が大きく、もうメダルはどうでもいいという気持ちになった。

 五輪のドラマは、あくまでメダルを目標に競い合う中で生まれる。それでも、やはり「メダル以上のもの」があることを、今回の浅田選手の戦いほど感じさせたものはない。それが何なのか、ゆっくりと考えてみたい心境だ。