お得意様は中国人


地球だより

 スイスといえば、チョコレート、チーズのほかに、オメガなどの高級時計が魅力ある輸出品だが、その最大の顧客は中国人という。

 スイス中央部の観光地ルツェルンの白鳥広場は毎日、観光客でにぎわう。人口8万1000人の都市に年間約940万人の旅行者が来るが、中国人旅行者が圧倒的に多い。その中国人旅行者は必ずスイス製の腕時計を土産に買って帰るという。スイスの英雄、男子プロテニスのロジャー・フェデラーの腕には同国が世界に誇る高級時計「オメガ」が輝いている。

 スイス時計協会が先月29日公表した年次報告によれば、スイスの時計輸出は前年比で6・3%増加、210億フラン(約2兆3000億円)を突破した。特に対アジア輸出が伸び、香港への輸出は19・1%増の30億フラン、中国への輸出は11・7%増の17億フランだった。スイスへの旅行者に売られているものを含むと、世界でスイス時計を最も多く購入している国は中国だ。

 ニュースサイト「スイスインフォ」によると、スイス時計協会のパッシュ会長は「米中間の貿易戦争もあって成長にリスクがあるが、中国のミドルクラスは成長しているから、スイス時計への需要はまだ十分ある」と強気だ。

 一方、スイスと中国との間で2013年、自由貿易協定(FTA)が締結されたが、高級時計のコピー対策ではまだあまり効果が上がっていないという。

(A)