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車を優先する道路構造


地球だより

 アラブ諸国の道路の構造は日本や欧米と大きく異なる。車道だけで、歩道がない所が多く、危険極まりない。

 エジプトの首都カイロの中心地タハリール広場でも、地下道はあるものの地上にほとんど歩道はなく、横断歩道もないため、人々は車を避けながら危険を承知で渡っている。

 数週間ほど前、50歳代の邦人ダンサーがカイロ近郊の路上を走って渡ろうとして車にはねられた。骨盤が真っ二つに割れ、左足骨折、頭を強く打つ重症を負った。一緒にいた友人によると、体が空中に舞い上がり、路上にたたきつけられたという。はねた運転手は行方をくらまし、それっきりだ。

 幸い保険に入っていたので当面の治療費には困らないという。友人にエジプト人のベリーダンサーがおり、入院時の費用を立て替えてくれたそうだ。エジプトでは入院前に全費用を払う必要があるからだ。夫人と子供たちが間もなく駆け付けるが、彼のダンサーとしての将来はエジプト人の医者の腕に委ねられている。

 それにしても、人より車を優先する道路構造は、アラブ・イスラム世界が共通に持つ権威主義的な思考が影響しているのかもしれない。あるいは、現実の世界より死後の世界を重視するイスラム信仰が影響しているのだろうか。イスラム教は一面で、貧しい人や弱い人に寄り添う宗教なのだが、その本質が失われているのかもしれない。

(S)