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自縄自縛の大法院長


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 近ごろ金命洙大法院長(最高裁長官に相当)と法院行政処處(全国の裁判所の人事、予算などを管轄する行政組織)の幹部たちは眠れぬ夜が続いている。従来の大法院長と違って、出勤・退勤時に記者たちに言葉を掛けていた金大法院長は口をつぐんだまま。“ソロモンの知恵”を見いだそうと懸命だ。なぜか。検察の“司法行政権乱用・裁判取引疑惑”捜査が予想よりはるかに強烈であるためだ。検察は今月19日、コンピューターの八つのハードディスク全てはもちろん、梁承泰前大法院長などの業務推進費と官用車利用の内訳、Eメールまで提出要請した。それも、これ見よがしに公然とだ。

 大法院はこれまで6日間押し黙ったままだ。金大法院長が「司法行政の領域で必要な捜査協力を厭(いと)わない」と公言しているので、いつまでも時間を引き延ばすわけにもいかない。法院行政處が立ち合って検察の要請した資料だけ渡そう、法院の自体調査の資料だけ渡し、家宅捜査令状を見てから判断しよう、等々。なかなか解決策が見つからない模様だ。ソウル高法(高裁に相当)の部長以上の中堅クラスの判事たちは、こんな事態を予想して捜査依頼に反対していた。司法権の侵害ということもあるが、実際に検察が“パンドラの箱”を開くのではないかと心配する声が多い。何が飛び出してくるか分からない。判事や検察の懲戒の内訳、敏感な情報の報告などが検察の“捜査倉庫”に移るのは気掛かりだ。

 “小川を浚(さら)ってザリガニを獲る”(一挙両得)。検察は内心高笑いしているのではないか。ソウル中央地検の公共刑事部でなく、特殊1部に担当させる強い攻め手に出たのも“儲(もう)かる商売”だと判断したためだという。全体でなく任意に選別した資料が裁判時に証拠となり得ず、問題のファイルを法院が選別するのも不適切だということは捜査の常識だ。疑惑の関連者たちの動きを再構成するためにはカードや車両の利用状況の調査が不可欠だという名分も十分だ。検察は格上の大法院(最高裁)の内実を覗(のぞ)き見る存外の成果を期待しているのかもしれない。

 検察は、国民が納得できる捜査結果を出すのだという名分で法院行政處の家宅捜索を試みる可能性もある。もし、令状が棄却されれば国民の非難は法院に浴びせられる。積弊清算を進めて結局、自縄自縛になったというため息まじりの声が法院内部で高まっている。検察がここまで出てくると思わなかったのなら、法院は余りにも純真ではないか。

 (6月25日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。