世界日報 Web版

ヒトラーの「併合」から80年


地球だより

 今年はヒトラー・ナチス政権のオーストリア併合80年。バン・デア・ベレン大統領は1日の新年の演説で「わが国はヒトラーの犠牲国であるとともに、加害国だったという事実を単に記憶するだけではなく、心の中でしっかりと留めておかなければならない」と述べ、「人種主義、反ユダヤ主義、そして破壊的な民族主義を再び甦(よみがえ)らせてはならない」と強調した。

 アドルフ・ヒトラーが率いるナチス政権は1938年3月13日、母国オーストリアに戻り、首都ウィーンの英雄広場で凱旋(がいせん)演説をした。同広場には約20万人の市民が集まり、ヒトラーの凱旋を大歓迎した。オーストリアはドイツに併合され、ウィーン市は第3帝国の第2首都となり、ナチス・ドイツの戦争犯罪に深く関与していった。

 オーストリアは戦後、「モスクワ宣言」を拠(よ)り所として、久しくヒトラーの戦争犯罪の被害国と主張してきたが、ワルトハイム元国連事務総長が出馬した大統領選頃から「世界ユダヤ人協会」から激しい批判が浴びせられた。

 同国がヒトラーの戦争犯罪の共犯者だったことを正式に認めたのはフラニツキー首相(1986年6月~96年3月)の時である。首相はイスラエルを訪問し、「オーストリアにもナチス・ドイツ軍の戦争犯罪の責任がある」と初めて認めた。

 オーストリアで今年、ヒトラーのオーストリア併合、戦争責任などをテーマとしたシンポジウムや国際会議が各地で予定されている。

(O)