労働してはならない日


地球だより

 イスラエルでは、金曜日の日没から土曜日の日没までが安息日(シャバット)で、ユダヤ教徒にとっては1週間のうちで特別な日だ。その日に交わす特別な言葉がある。別れ際に「シャバット・シャローム(平和な安息日を)」とあいさつをする。

 金曜日の夕食(シャバット・ディナー)には、肉、魚、野菜などたくさんの料理を準備し、集った家族や親しい友人とテーブルを囲んで、いつもより豪勢な食事を楽しむ。

 シャバット・ディナー時の祈りの儀式には欠かせない、食事の始めに塩を付けて食べる特別なパンがある。ハラーという編んだ形をしたパンで、シャバットにしか食べない。平日に食べるパンとは違い、パン屋さんには木曜日の夜から金曜日にしか置いていない。

 以前、平日にどうしてもハラーが必要になり、エルサレムのパン屋さんに無理を言ってお願いして特別に作ってもらったことがある。特別注文なので、値段は通常の10倍だった。

 シャバットに入ると、ほとんどの店がシャッターを閉め、バスや電車も運休となる。ユダヤ教では、シャバットの間は労働してはならず、敬虔(けいけん)なユダヤ教徒は、電気のスイッチを入れたりガスに火を付けたりもしない。金曜日の日没までに作った料理は、冷めないように保温器に乗せシャバットを過ごす。スイッチを押すことも労働とされるので、エレべーターは自動的に各階に止まり開閉している。労働しないというのは大変なことだ。

(M)