セクハラ裁判勝利も退職


地球だより

 米ハリウッドの大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏(65)が、約30年間にわたり、セクハラ行為を繰り返していたことが20人以上の大物女優の告発で明らかになり、世界に波紋が広がっている。フランスではセクハラ問題への関心が改めて高まっている。

 20年前、フランスのセクハラ被害報告件数が急増した。理由は過去に起きたセクハラを期限なく告発できるようになったからだった。2012年にはセクハラへの罰則が強化され、最大禁錮3年、4万5000ユーロ(約594万円)の罰金が課されるようになった。

 とはいえ、セクハラ被害が減っているわけではない。最も多い被害は上司からのセクハラだが、最新のデータで上司をセクハラで訴えた女性の95%が、たとえ勝訴したとしても会社を退職している。

 セクハラは難しい問題で、目撃証言は少なく、目撃しても自分の立場を考えて証言しない同僚も多い。結果的に事実の立証は本人だけとなり、司法の場での闘いは原告と被告の2人だけということになる。加えて被害者は、屈辱的で恥ずかしさも手伝って、なかなか訴えない。

 ただ、セクハラ被害者をサポートする民間団体が多くなっており、被害に遭った女性が以前より対処のサポートを受けやすくなっていることは確かだ。

(M)