物価高で国民は悲鳴


地球だより

 エジプトで最近、物価の上昇が続き、国民の多くが悲鳴を上げている。会う人、会う人愚痴をこぼす。マッチは約2倍に、ガソリンは短期間で43%も上昇、飲み水は1・5倍、地下鉄料金は2倍に、にんにくなどは3倍。給料はほとんど上がらないので、かなりの国民が一気に貧困層に転落した。

 ある知人の女性が、エジプトの今後の経済状況をどう考えるかと真剣な面持ちで聞いてきた。私は、イスラム過激派のテロが、外国人観光客を遠ざけ、外貨不足を来し、エジプト・ポンドの対ドル急下落を招き、そのことが原因となって物価上昇が続いているので、何よりの最優先事項は、テロを厳しく取り締まり、治安を回復して観光客を呼び戻すことだと答えた。

 すなわち、さまざま不満があるものの、それをデモなどの行動に移せば、喜ぶのは、政府の弱体化を願うムスリム同胞団だけで、政府が弱体化すれば余計過激派が勢いを増し、シリアやイラク、リビア、イエメンのような内戦状態に陥るのだ。今は国民が現状を理解し、我慢して、政府を支援し、治安回復を成し遂げることが肝要だと答えた。

 ただ、ムバラク時代、収監した過激派を教育して穏健派に転換させたのと違い、殺害や拷問により、囚人の家族や親族にまで恨みを拡大しているとの話を聞く。

 イスラム指導者をして、囚人たちに穏健教育を徹底させるべきなのだが、指導者自体が教育できないほど、コーラン自体の中に、聖戦のためには暴力を肯定する句が散在していることにあるようだ。

(S)