扉のない庶民の足 マイクロバス


地球だより

 車が故障し、修理に数日間を要することになったことから、久しぶりにカイロの町を公共交通機関を利用して走り回ってみた。

 現地までどのぐらいの時間を要するのか測りかねたこともあり、早朝5時ごろ、最寄りの地下鉄駅に行ったが、駅には鍵が掛かり、入れない。入り口付近にいた年配のおじさんに、どうして閉まっているか尋ねたところ、「お祈りの時間なので、駅員は皆祈っている。数分で開くだろう」と説明してくれた。

 その後、ちらほらと、小型バスや徒歩で到着した人々が集まり始めたが、皆、慣れたもので、駅が閉まっていることを誰も気にしない。5時半すぎに、やっと扉が開いたが、その数分後に発車した電車が始発だったのかどうかは確認できなかった。

 しかし、それよりもさらに驚いたのは、地下鉄駅を降りて、あるホテルに向かうために利用したマイクロバスだった。何と、扉が無いのだ。他のマイクロバスも同様で、扉のない車両が多い。乗客が出入りしやすいようにということだろうが、よく見ると、運転席の窓も、助手席の窓も開いたままだ。運転手が、外の客に向かい、行き先を大声で告げるために、双方の窓は開けたままなのだ。

 夏ならまだしも、冬の朝の風は冷たい。吹きさらしの中で旅するようなもので、身も心も冷え込んでしまう、。料金は3エジプトポンド(約21円)。タクシーだったら20~30ポンド(約140~210円)ぐらいだろう。

 乗客も皆、ジャンバーを着込み、マフラーを巻くなどして対策を講じていた。雨がほとんど降らないエジプトだからこそできる芸当だ。皆、当たり前のようにして利用している。

(S)