自己中過ぎるタクシー


地球だより

 日本でタクシーを利用するとき、目的地を運転手に告げるのはだいたい車内に乗り込んでからだろう。しかしフィリピンでは乗り込む前に目的地を告げるのが一般的だ。なぜなら目的地による乗車拒否が日常的に行われているからだ。

 最近ネットである乗車拒否の動画が話題となった。動画はマニラ首都圏の幹線道路で撮影されたもので、幼い孫を抱いた年配の男性が、激怒してタクシーに蹴りを見舞いながら運転手と口論しているというものだ。説明によると渋滞を理由に、目的地に到着する前に降車させられたのだという。

 運転手による乗車拒否は禁じられ罰則も設けられているが、完全に形骸化しているのが実情だ。乗車拒否の理由は渋滞や運転手が帰宅する方向と違うなどさまざま。特に雨の日は完全に「売り手市場」と化し、料金を上乗せされるありさま。あくまでもプライベートな事情を優先するフィリピン人の国民性に、日本人はカルチャーギャップの洗礼を受けることになる。

 このような自己中(心的)なタクシーが多いため、最近は少し金銭的に余裕があるオフィスワーカーなどを中心に、ウーバーなどのスマホアプリを使った配車サービスが人気を集めている。

 フィリピンではすでにクリスマスシーズンが佳境を迎えているが、混雑するこの時期はタクシーの自己中度がグンと上がる。そのため政府当局は、各地のタクシー乗り場に職員を派遣し乗車拒否や料金の上乗せなどを取り締まる方針を示している。

(F)