ライン人気に見る国民性


地球だより

 バンコクの繁華街で食事していると、結構、スマートフォンからラインの着信音が響く。日本では無料通話が可能なラインの人気は高く、月間アクティブユーザーは今年6月に6200万人を突破するなどコミュニケーションアプリとしては不動の地位を築いているのは周知の事実だが、実はタイでも結構な人気度を誇る。

 ラインがタイ人の心をわしづかみにしているのは、スタンプの種類の豊富さだ。

 ドラえもんやミッキーなどの公式スタンプだけでなく、誰でも制作・販売できるラインスタンプマーケットもあってスタンプの種類は大洪水のような様相を呈している。

 このスタンプがタイ人を虜(とりこ)にしたのは、利便性の高さからだ。文章を入力するのが面倒な時、実に便利だ。怒っている時は 、言葉を尽くして説明しなくても怒り顔のイラストのスタンプ一つで十分伝わる。勉強中であれば机の前で教科書を開いているイラストのスタンプを相手に送るだけで、今の自分の状況を伝えられる。

 実はタイ人というのは、面倒くさがりなところがある。ちょっとした距離なら自転車で行けばいいものを、自転車というのはタイでは人気がない。暑い中をペダルをこぐというのはばからしいのだ。そうした面倒くさがりの国民性があるタイ人の心を、ラインのスタンプはつかんだ。

 なお、日本や台湾で人気のスタンプは猫やウサギといった小動物だが、タイでは2頭身ぐらいの漫画化された人間のキャラクターが人気だ。インドネシアのスタンプは、これが8頭身となってより現実味がある。

(T)