韓国の「ヌンチ」外交


地球だより

 米国と中国が戦争したらわれわれは果たしてどちらの味方に付くか―。最近、韓国外交街でこんな話題が酒の肴(さかな)に上がったという。一昔前なら迷わず「米国」と答えていただろうが、今は答えに窮する人も少なくないのではないか。そんな気がする。

 G2時代を築いた両大国は韓国にとっても最も重要な2国となった。米国は韓国動乱を共に戦った唯一の同盟国。中国は最大の貿易相手国。だが、米国はシリア問題などで露呈したように国際社会での指導力に陰りが見られる一方、中国は経済成長に裏打ちされた発言力拡大、宇宙開発などでの科学技術力誇示で影響力は増すばかり。韓国にとって米国より中国のプレゼンス上昇の方が勢いがある。

 中国の一方的な暴挙ともいえる防空識別圏設定で「日米VS中国」の緊張が高まっているが、これを契機に北東アジアの安全保障絡みで韓国が米国側にも中国側にも付き切れない立場にあることがクローズアップされている。韓国メディアはこんなどっち付かずの宙ぶらりん状態を「G2ジレンマ」と表現している。

 韓国人は「ヌンチ(目端)ガ(が)パルダ(速い=この場合は利く)」という言葉を頻繁に使うが、もしかするとこれは古くは中国や日本から攻められ、100年前の列強、現在も周辺4強(米・中・日・露)に挟まれながら生き残らなければならなかった民族的宿命と無関係でないかもしれない。

 朴槿恵政権は中国重視路線を打ち出したことで、今後自らを米中対立の狭間に立たせることが増えるのは間違いない。「ヌンチ」外交のお手並み拝見だ。

(U)