昆虫食堂


地球だより

 ハノイ法律大学の学生トンさんが、最近ハノイ市のダイラー通りに開いた昆虫食堂への人気が高い。食堂は午後4時頃に開店し、午後10時頃に閉店する夜のみの営業だが、1晩の売上高は数百万ドン(数万円)に上るという。学生稼業にしては結構、割のいいサイドビジネスだ。

 晩餐(ばんさん)のメニューは、日本人にもなじみのあるイナゴから、ムカデやサソリ、ヤモリといった強精剤まがいのものまで多種多様だ。

 約100グラム程度の1皿の値段は、コオロギやイナゴが5万ドン(約260円)。ムカデは1匹2万5000ドン(約270円)、サソリは1匹6万ドン(約310円)、ヤモリは1匹8万ドン(約410円)だ。

 またベトナム一の商都ホーチミン市には各種の昆虫を売る小さな市場がある。マーケットがあるのは、同市ホンバン通りの路上だ。この青空マーケットの特産品は、バッタにコオロギ、イナゴなどだ。人々は「バッタ市場」とか「昆虫市場」などと呼んでいる。

 こちらの方はハノイの昆虫食堂のような結構、値の張るものではなく、庶民価格だ。イナゴ1袋が2000ドン(約10円)、コオロギは1袋5000ドン(約24円)で一日のもうけは約1000円とつつましい。

 国際連合食糧農業機関(FAO)は近年、食料問題の切り札としての昆虫食について、報告書を発表するなど昆虫食が注目を集めている。

 昆虫やその幼虫・さなぎというのは、インドシナ地域ではごくありふれた日常の食材だが、人類普遍の食にするにはまだまだハードルが高い。

(T)