韓国の大学修学能力試験事情


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 「こっぱみじんになった言語領域よ/解いても答えがない数理領域よ/解いていて疲れ果てる社会探求・科学探求領域よ/解釈していると息も絶えそうな外国語領域よ/試験用紙に残った問題一つは/とうとう最後まで解けなかったんだ/なつかしいひと月前よ/帰って来いひと月前よ」

 金素月(キムソウォル)の詩『招魂』をパロディー化した大学修学能力試験(修能〈スヌン〉と略される)関連の詩だ。問題がうまく解けなかった受験生のもどかしさが切々と感じられる。こんなパロディー詩が流行するのは、それだけ修能の負担が大きいからだ。

 受験生の修能勉強は事実、苦難の行軍だ。何より眠りとの闘いはすさまじい。3時間なら志望大学に合格し、4時間眠れば落ちるという「三当四落」は今では陳腐だ。眠りが襲ってくると「今、眠れば夢を見るが、今、勉強すれば夢を実現する」「今、この瞬間も敵の本のページはめくられている」という勉強の名言を心に深く刻む。

 受験生を支える父母の心労も大変なものだ。修能が近づくと大邱の八公山(パルゴンサン)にあるカッパウィ(冠峰の石造如来像)付近など、全国の入試祈祷(きとう)聖地は受験生の父母たちで足の踏み場もなくなる。冷たい地面に敷物を置いて座り、何時間も祈祷をささげるが、寒さも忘れる。

 大学入試は受験生と父母が一緒に戦う戦争だという言葉がぴったり当てはまる。父母の心は昔もさして変わらなかった。退渓・李滉(イファン)(儒教の大家、退渓(テゲ)は号)の弟子、金澤龍(キムテンリョン)(1547~1627)は科挙試験を受ける息子のために合格者が使った“幸運の筆”を借りようと退渓の孫に切実な手紙を送り、答案用紙まで手ずから準備したという。

 今日は修能の日だ。受験生は練磨した実力を十分に発揮するため、緊張の中で一日を過ごすことになる。試験の結果によって悲喜が分かれる。たとえ期待通りの結果が出なくても天が崩れ落ちたように落胆することではない。試験の失敗は人生の失敗ではないからだ。

 英国の第2次世界大戦の英雄ウィンストン・チャーチルは陸士の試験を2回も落ちた。燕巌・朴趾源(パクジウォン)(朝鮮後期の実学者、燕巌〈ヨナム〉)も1765年の科挙に落ちたが、新しい文物の研究で一家を成した。重要なことは希望を失わないことだ。そうすれば再び夢を設計することができる。成功ストーリーの主人公は試験に合格した人間より、希望を失わない場合がもっと多いという事実を心に留めてほしい。

(11月7日付)