注目集める「水しぶき兄弟」


地球だより

 シンガポールで開催中の東南アジア競技大会で、フィリピンの「スプラッシュブラザーズ」が注目を集めている。なんだかカッコいい響きだが、実は皮肉が込められた呼び名で、フィリピン国民としてはあまりうれしくないようだ。

 各国の一流選手が参加する水泳の飛び込み競技で、0点を記録した選手が2人がいた。フィリピンの若き代表選手たちだ。飛び込み台からジャンプした時点で不安定な感じがしたが、何とか空中での回転は決めた。しかし直後に背中から激しく水面に落下。もう一人の選手も不自然な角度で膝から着水し、盛大に水しぶき上げた。そして「水しぶき兄弟」が誕生した。

 参加することに意義があるとはいえ、国際大会にふさわしくない、あまりにふがいない結果に、スポーツ協会の会長は、なぜこの2人が選ばれたのか調査する方針を示している。一方、水泳競技の責任者は、予算がなく練習不足だったと指摘し2人を擁護した。

 南国の海をイメージさせるフィリピンだが、実は泳げない人が多い。公立学校にプールがないので、水泳を学ぶ機会がないのだ。従って子供の頃から水泳を学べる機会があるのは、ある程度の裕福層だけ。水泳競技の選手層がとても薄いことは、容易に想像できる。

 ぜひ2人の選手には、このまま練習を続け、次の大会で汚名を返上してほしいところだ。

(F)