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なぜ、日本大使館内は写真禁止か


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ウィーン市の日本大使館・文化センター(2013年4月、撮影)

 音楽の都ウィ—ンにある駐オーストリア日本大使館・文化センターは、欧州ドイツ語圏最古の総合大学ウィーン大学の近くにある。リング通りを渡った真正面にはウィーン市警察本部の建物がある。大使館から数分のところに石油輸出国機構(OPEC)の新本部がある。リング正面には文化センターと領事部への入口があり、建物サイドに大使館入口がある。日本人外交官は通常、この入口から出入りする。参考までに、韓国大使館は2階建ての一軒家だが、中心地からは少し離れている。

 日本文化センターでは生け花展、茶道展、囲碁の学習などさまざまなイベントが定期的に開催される。ウィーン市内に住む日本人関係者だけではなく、日本文化に関心のあるオーストリア人が多数訪れる。文化センターに入るためには金属探知機を通過し、バックやカバンの中のチェックも受けなければならない。ちなみに、大使館周辺には3人の警備員が常時監視している。

 ところで、生け花の展示会に参加した日本人女性が友人が作った生け花の前で写真を撮ろうとしたら、警備員から「写真は禁止されています」と注意されたという。生け花展だけではない、文化センター内の写真は一般に禁止されているという。もちろん、大使館側はその理由を説明しないが、テロ対策の一環であることは間違いないだろう。日本関連施設がテロリストに狙われているという情報が流れているからだ。

 日本公安調査庁(PSIA)は、今年5月公表した「国際テロリス要覧2014」の要点の中で、①国際テロの脅威はアルカイダ指導者オサマ・ビン・ラディン殺害後も依然として深刻、②アルジェリアでの邦人テロ事件(昨年1月)は日本にとってもテロの脅威が現実であることを示した、③アルカイダなどは日本をテロの対象としている、④国際テロ組織関係者が日本に入出国を繰り返してきた、等を指摘し、海外の日本関連施設に警戒を呼びかけている。

 ちなみに、ウィーンを舞台に発生した国際テロ事件は、テロリスト・カルロス一味が1975年12月21日、閣僚会議開催中のOPEC本部を襲撃し、警備の警官と銃撃後、多数を人質にしたOPEC襲撃事件と、1985年パレスチナ人ゲリラ指導者アブ・ニダル容疑者がウィーン空港を襲撃して無差別銃乱射を行った事件が挙げられる。国連を含め30以上の国際機関の本部があるウィーン市は国際テログループの襲撃対象となりやすい点は間違いないだろう。

 なお、イラク出身の中東テロ問題専門家アミール・ベアティ氏は「ウィーン市とグラーツ市(オーストリア第2都市)はイスラム過激派の拠点となっている。過激なイスラム教学者は若者たちをリクルートしている」という。実際、グラーツ市で今月初め6人のイスラム過激派が拘束されたばかりだ。彼らは青年たちをリクルートしシリアなど紛争地に送っていた。
 オーストリア内務省「連邦憲法擁護・テロ対策局」(BVT)によると、オーストリアに住む8人のチェチェン出身の青年たちがシリア内戦に送られ、そのうち4人が死去し、2人は行方不明となっているという。

(ウィーン在住)