世界日報 Web版

TPP復帰検討、トランプ氏は重要性認識を


 トランプ米大統領は、スイス東部の保養地ダボスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で演説した。

 米現職大統領のダボス会議出席は異例で、2000年のクリントン大統領(当時)以来18年ぶりとなった。

昨年1月に「永久に離脱」

 トランプ大統領は、自国の利益を最優先する「米国第一」の姿勢を続ける考えを強調。通商政策にも時間を割き、自由貿易の前提として「公平で互恵的な貿易」を追求すると改めて主張した。

 昨年末には法人税率を大幅に引き下げる税制改革を実現。さらには規制緩和を着実に進めてきた成果をアピールし、米国の存在を印象付けた。「われわれは再び競争力を取り戻した」と自賛。「米国が成長すれば世界が成長する」との認識を示した。

 一方、「『米国第一』が米国の孤立を意味するわけではない」と語り、国際的なルールや秩序の強化に積極的に関与するとの考えを強調。「協定が合理的な内容であれば、環太平洋連携協定(TPP)各国との交渉を検討する」と表明したことは、多国間貿易の枠組みへの関与も視野に入れる考えを示すものだと言える。

 TPPをめぐっては、離脱した米国抜きでの新協定「TPP11」の署名式を3月にチリで開くことで合意している。トランプ氏は昨年1月の大統領就任直後、12カ国で合意したTPPを「永久に離脱する」と宣言。米産業・農業団体には「アジア市場での競争力が低下する」との懸念が広がっていた。

 TPPは関税・ルール両面で高いレベルの自由化を実現するものだ。政治的、経済的影響力を拡大する中国を牽制(けんせい)する狙いもある。

 もっとも、現時点で米国がTPP復帰に向けて動き出すかは不透明だ。トランプ氏は昨年に離脱表明した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」についてもたびたび「復帰は考えられる」と言及してきたが、離脱撤回には動いていない。今回の発言の背景には、通商政策で目立った成果がないことへの焦りがあるとの見方もある。

 仮にTPP復帰を目指すとしても、正式な加入は早くて19年のTPP11発効後に持ち越される。TPPには英国や韓国、台湾、タイ、インドネシア、フィリピンが関心を表明している。米国にも復帰を前向きに検討するよう求めたい。

 中国については、シルクロード経済圏構想「一帯一路」などで覇権主義的な動きを強めることが懸念されている。中南米33カ国で構成する中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)との閣僚級会合では、中南米諸国も一帯一路に加わるよう呼び掛けた。中国は既に中南米の多くの国で最大の貿易相手国となるなど存在感を増している。その意味でも、トランプ氏はTPPの重要性を認識する必要がある。

対北包囲網構築主導せよ

 トランプ氏は演説で、全ての国が朝鮮半島の非核化に向けて団結し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に最大限の圧力をかける必要性を強調した。対北包囲網構築を主導しなければならない。