訪日客過去最多、4000万人へ更なる施策を


 2017年の訪日外国人数が2869万人となった。前年比19・3%増、5年連続で過去最多の更新である。国際環境の大きな変化や混乱がなければ、インバウンド増加の勢いは、このまま続きそうだ。

 20年までに訪日客を4000万人とする政府目標も視野に入ってきた。しかし、もう一つの目標である訪日客による8兆円の消費となると簡単ではない。両目標達成へさらなる施策を講じていく必要がある。

17年は2869万人

 訪日客の内訳をみると、アジア勢が全体の約8割を占めている。韓国、中国、台湾、香港、ベトナム、インドネシアなどだ。日本までの距離が近いということや、円安、格安航空会社(LCC)の路線が増えたことなどがベースになっている。

 一方、欧米からの旅行者も増加している。米国、英国、フランス、ドイツ、イタリアなどだが、観光庁が昨夏、「欧米豪市場推進室」を新設した成果が出てきたようだ。

 訪日客による消費額も4兆円を突破した。ある調査によると、訪日目的の1位にショッピングがランクされている。化粧品やファッショングッズなど日本製品の人気がそれを支えている。また3位は日本の食文化となっており、日本での食事は訪日客の大きな楽しみであることが分かる。

 ただ、中国人を中心にした爆買いもかつてほどではなくなり、20年までに現在の倍の8兆円という目標を達成するにはさらなる工夫が欠かせない。

 その意味でも、1人当たりの消費額の高い欧米からの訪日客をさらに呼び込む必要がある。また高級ホテルも少なく、特に地方での建設が急がれる。

 体験型の「コト消費」の要望に応えられる施設、企画が鍵と言われる。夜の10時頃までコンサートや観劇を楽しみ、さらにその後も夜遅くまで食事を楽しむといったナイトライフが充実した欧米からの観光客には、夜でも楽しめる施設の充実が求められる。そういったニーズに応えようと、昨年、自民党の議員連盟が結成され、また観光庁の有識者会議が設けられて議論を始めた。規制緩和などを進め、環境を整える必要がある。

 ある調査によると、アジア地域からの訪日客の約6割がリピーターだ。リピーターが多いというのは、日本が何度も訪ねてみたいと思う魅力を備えているということで、観光資源、利便性やホスピタリティーにおいてもまずは及第点を得ていると言えるだろう。

 しかし、それに胡坐(あぐら)をかいていてはいけない。リピーターをさらに増やすには、地方への誘客がポイントとなる。東京から京都・大阪へのゴールデンルート以外の地方都市でも外国人観光客の姿が目立つ。地方の魅力を世界に発信し、それぞれの地方独自の努力が求められる。

Wi-Fi環境の整備を

 一方、東京、地方を問わず、宿泊施設の不足が心配だ。民泊なども充実させて補うべきだ。

 個人旅行、団体旅行に限らず海外の旅行者はスマートフォンによる情報収集を旅のツールとして重視している。Wi-Fi環境の整備は最優先の課題だ。