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米、INF条約破棄通告


国務長官が発表 ロシアの違反を批判

 ポンぺオ米国務長官は1日、記者会見で、ロシアとの中距離核戦力(INF)条約について「ロシアは何年もの間、遠慮なく違反を続けてきた」と批判し、同条約から離脱すると発表した。正式通告から6カ月後に失効する。米国は、ロシアによる条約違反や締結国でない中国がミサイル増強を進めていることに不満を表明していた。

ポンペオ長官

1日、ワシントンの米国務省で記者会見するポンペオ長官(AFP時事)

 INF条約は、1987年に当時のレーガン米大統領とゴルバチョフソ連共産党書記長との間で調印され、射程500㌔~5500㌔の範囲の地上発射型ミサイルの発射実験と製造、保有を禁止している。破棄された場合、通告から180日後に発効する。それまでにロシアが米国が主張する条約違反を止めれば、米国は破棄通告を撤回する意向も示しているものの、ロシアが応じる可能性は低いとみられる。

 米国は2014年以降、ロシアによる新型巡航ミサイル「9M729」の配備が条約に違反していると主張。昨年12月4日に、ロシアが条約違反を続ければ、米国は60日以内に条約を離脱すると通告した。2月2日にはその期限を迎える。

 INF条約をめぐって、米国とロシアはこれまでジュネーブと北京で2回の次官級協議を行った。米国がミサイルの廃棄を求めたのに対し、ロシアは「ミサイルの射程は480㌔」だとして条約違反を認めず、議論は平行線のまま決裂した。

 米国は、INF条約の締約国ではない中国が、中距離ミサイルを多数配備することで、アジア太平洋地域で軍事優位性の獲得を目指していることに懸念を示している。INF条約から離脱することで、中国に対抗する上での足枷を外す狙いもあるとみられる。

 ロイター通信によると、米政府関係者は、米国が条約で定められた義務の履行を停止すると語った。米国はその後、条約で禁じられていた短・中距離ミサイルの研究、開発を始めるという。

(ワシントン山崎洋介)