世界日報 Web版

台湾旅行法、米台関係強化につなげよ


 米国で台湾旅行法が成立した。これまで控えてきた米国と台湾の高官による相互訪問に道を開くものだが、中国は中国本土と台湾が同じ国に属するとの「一つの中国」原則に反するものと見なして反発している。

高官の相互訪問が可能に

 米台関係は1979年に成立した台湾関係法に基づいて維持されている。同法施行以来、米国は双方の高官の相互訪問を規制してきた。今回成立した台湾旅行法はこれを転換して、米国と台湾のあらゆるレベルの政府高官が会談することを可能にするものである。中国の圧力で台湾と断交する国が相次ぐ中、蔡英文政権は米台交流に弾みがつくことを期待している。

 この法案は全会一致で上下両院を通過し、トランプ大統領の署名で成立した。共和党も民主党も、台湾を支援する姿勢を明確に示したといえる。成立でトランプ氏の訪台や蔡氏のワシントン訪問も可能となる。米台関係の一層の強化につなげたい。

 トランプ氏は就任前の2016年12月、電話で蔡氏と会談し、中国を激怒させた。昨年12月に発表した「国家安全保障戦略」では、台湾関係法に基づく台湾への武器供与が強調されている。民主党のオバマ前政権下では言及がなかった。

 中国の世界的な影響力拡大は米国にとって脅威となる。それに対抗する一環として、トランプ政権が台湾に接近しようとすることは理解できる。

 一方、中国外務省は同法が台湾独立勢力に「誤った強いシグナル」を送ったと批判する声明を発表。「米国に対し、過ちを正すとともに双方の当局者による公式な交流を中止するよう求める」と反発している。

 蔡政権は「一つの中国」原則の受け入れを拒否している。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)における政府活動報告で、李克強首相は「『台湾独立』をもくろむいかなる分裂の画策や行動も断じて許さない」とくぎを刺した。

 中国政府系の英字紙「チャイナ・デーリー」は社説で、台湾旅行法成立を受け、蔡氏が中国に「国家同士の関係」を主張するような場合には「『反国家分裂法』を発動させるような結果が避けられないだろう」と強調した。反国家分裂法は、台湾の独立阻止を狙って05年の全人代で採択されたもので、台湾への武力行使に法的根拠を与えている。台湾に対して極めて高圧的だと言わざるを得ない。

 こうした強硬姿勢の一方、中国は台湾の企業や住民に「中国の企業・人材と同等の待遇」として31項目の優遇措置を取ることを発表。これまで制限していたインフラ整備や政府調達などへの参加を認めた。硬軟両面の手法で台湾の「内政化」を進める姿勢を鮮明にしている。

 しかし、台湾住民の多くは中台関係の「現状維持」を求めている。中国は台湾の民意を踏みにじるようなことをすべきではあるまい。

中国覇権主義に歯止めを

 習近平国家主席率いる中国の台湾に対する揺さぶりは強まるだろう。自由と民主主義の価値観を共有する米台は連携し、中国の覇権主義的な動きに歯止めをかける必要がある。