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トランプ氏演説、世界の安定に資する軍備増強


 トランプ米大統領は連邦議会の上下両院合同会議で、就任後初めての議会演説に臨んだ。演説では米国の自由、正義、真実などの価値観を強調。「アメリカン・スピリット(米国精神)の再生」を目指すと強く語り、米国民と世界に向けて内政、外交、経済、安全保障各分野の政策を推し進めるための協力と団結を真剣に訴えた。

 国防予算の大幅増求める

 トランプ氏は冒頭で「米国人は、真実と自由と正義のたいまつを引き継いできた」と述べ、米国の理念と伝統に触れた。またリンカーンやアイゼンハワーら尊敬を集める大統領を随所で引き合いに出すなど、米国民の愛国心や誇りに訴え掛けた。

 オバマ前大統領のリベラル路線で生まれた米社会の分断は、トランプ氏の登場で一段と深まったように見える。「われわれはみな同じ血が流れ、同じ旗に敬礼し、同じ神によって創られた」という言葉からは、党派間、人種間、宗教間の対立を克服し、結束をもたらそうとしていることがうかがえる。

 注目すべきは「米軍再建」のため、米史上最大規模の国防費増額を求めたことだ。トランプ氏はすでに国防費を540億㌦(約6兆円)増額する一方、非国防費を同じだけ削減する方針を表明している。国防予算は2017会計年度比で約1割増となる。

 国防費の一方的削減を続けたオバマ氏とは対照的だ。オバマ政権時代には、中国による南シナ海の軍事拠点化が進んだ。トランプ氏は州知事らとの会合で「必要な時には戦争に再び勝たなければならない」と表明。米政府は国防費の増額分で軍の再構築や核能力の回復を図ると説明した。南シナ海やホルムズ海峡での軍事プレゼンス拡大も目指す方針だ。米国による中国への強い牽制(けんせい)は日本の安全保障にも資する。

 トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)への支持を断言した。同盟重視の表れだ。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦に関しても「イスラム世界の同盟国と連携して行う」と強調した。一方で「NATOであれ中東であれ太平洋であれ、私たちはパートナーが戦略的、軍事的な作戦の中で直接的で意味ある役割を担い、そして応分の費用を負担することを期待する」と注文した。

 日本は日米同盟強化に向け、これまで安全保障関連法の制定などを進めてきたが、今後も防衛力強化に向けた一層の自助努力や、世界と地域の安定への積極的な貢献が求められよう。日米両政府は4月末からの大型連休中にも、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開催し、自衛隊の役割見直しを含む協力拡大への調整を本格化させる。

 1兆㌦のインフラ投資

 トランプ氏は経済政策で「歴史的な税制改革を進める」とし、中間層の税負担軽減や法人税の引き下げを表明した。

 また1兆㌦(約113兆円)規模のインフラ投資を生む法案の承認を議会に求め、「米経済のエンジンを再起動する」と強調。数百万人の新規雇用創出のためだが、実現すれば大規模な財政出動となる。その行方に注目したい。