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子供の性転換急ぐ医師 認めねば「自殺」と親に迫る


アメリカLGBT事情(5)

10月8日、米ワシントン郊外で開催された保守派団体のイベントで、自閉症の息子に対するジェンダークリニックの対応を批判した父親のブレントン・ネッツさん(右)(山崎洋介撮影)

10月8日、米ワシントン郊外で開催された保守派団体のイベントで、自閉症の息子に対するジェンダークリニックの対応を批判した父親のブレントン・ネッツさん(右)(山崎洋介撮影)

 米中西部ミシガン州在住で、自閉症を抱えるマイルズ君の父親、ブレントン・ネッツさんはある日、当時8歳だった息子のカウンセリング記録を見て衝撃を受けた。
 その中で、ジェンダークリニックの医師は「マイルズは自らをレズビアンだと伝えた」「マイルズは自分がトランス女性だと伝えた」と記述。さらにマイルズ君に「マイリー」という新たな女性名を付けていた。しかし、ネッツさんには、マイルズ君が自らの意志でこうした判断をしたとは思えなかった。

 「大人から信じ込ませられない限り、自閉症の幼い少年が自発的にトランスジェンダーのレズビアンだと自認することなどあり得ない」。ワシントン郊外で先月開催された保守派団体のイベントで体験を語ったネッツさんは、強い憤りをあらわにした。

 ネッツさんによると、その医師はこれにとどまらず、思春期の変化を抑制する「第2次性徴遮断薬」の処方が可能かを判断するため、マイルズ君の陰毛の量を調べるなどしていた。さらに次の段階の性ホルモン剤の処方や性転換手術も検討していたという。

 6月に公開されたドキュメンタリー映画『トランス・ミッション―なぜ性適合治療を急ぐのか?』(生命倫理・文化ネットワークセンター制作)では、子供が希望する性への移行を受け入れるべきだとする風潮が強まる中、性急な性適合治療に疑問を持ち、孤立する親たちの苦悩が取り上げられている。

 「もし娘さんの性自認を認め、必要な手助けをしなければ、彼女は自殺し、あなたはひどい罪悪感を覚えることになるだろう」。映画に登場するバリさんという母親は、つらい記憶に顔をゆがめながら、医師から言われた言葉を振り返った。

 バリさんは、娘が両親の離婚や男子生徒による性的嫌がらせを体験したことなどが男性になりたいという願望を生み出したと考えており、まず精神面の問題に対処すべきだと、米メディアに語っている。

 しかし、こうした考えを持つ親は、強い圧力にさらされている。映画によると、医師から「生きた息子と死んだ娘のどちらが良いのか」などと、子供が自殺するという最悪の事態を避けるために性適合治療への支持を迫られるケースが相次いでいるというのだ。

 だが実際には、その効果に明確な根拠はない。英国では、国立医療技術評価機構(NICE)が3月、第2次性徴遮断薬に関する既存の研究にはバイアスがかかっていると指摘。それがトランスジェンダーの精神的苦痛を改善する効果について「非常に低い確実性」と結論付けた。骨や脳の発達への悪影響や妊娠能力の低下など副作用も指摘されている。

 にもかかわらず、医師たちが一方的な診断をするのは、なぜなのか。

 映画に登場する専門家は、同薬の市場が近年、急速に拡大し、巨大な利益を生み出していることが背景にあると語る。また、子供の頃に性適合治療を始めれば、その後も検査などで長期的な顧客となることが、医師にとってインセンティブとして働いていると指摘される。

 一方、南部アーカンソー州は4月、「思春期の子供を実験から守る」として、米国の州で初めて18歳未満への性適合治療を禁止する法律を成立させた。米メディアによると、同様の法案が他の19州で提出されている。

 離婚した元妻と共同親権を持つネッツさんは、法廷闘争の末、マイルズ君がクリニックで性適合治療を受けることを妨げる裁判所命令を勝ち取った。イベントでは、どんな子供もこうした医療の犠牲になり得るとした上で、こう訴えた。

 「子供たちが獣の餌食になるのを防ぐために、あらゆることをすべきだ」

(ワシントン・山崎洋介)


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