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米軍撤退完了「最長戦」に幕 アフガン


 

タリバン「完全な独立」宣言

30日、カブールの空港で、アフガニスタンから撤収する最後の米軍人として輸送機に乗り込む司令官(米中央軍提供)(AFP時事)

 バイデン米大統領は30日、声明でアフガニスタンからの軍の撤収が完了したと発表し、2001年から続いた「米史上最長の戦争」とも言われるアフガン戦争の終結を宣言した。一方、イスラム主義組織タリバンが全権を握ったアフガンで、女性の権利や基本的人権が侵害される懸念が強まっている。

 米中央軍は、最後のC17輸送機が米東部時間午後3時半(日本時間31日午前4時半)ごろ、カブール空港から離陸したと述べた。バイデン氏は声明で「米史上最大の空輸を実行した」とし、12万人以上の米国人やアフガン人らを退避させたと発表した。

 ただ、いまだに退避を望む米国民百数十人のほか、数千人のアフガン人の協力者がアフガンに残されているとされる。中央軍のマッケンジー司令官は、「退避を望むすべての人を出国させられなかった」と認めた。

 バイデン氏は米メディアとのインタビューで「米国人が残っているなら、その全員を退避させるために留(とど)まるつもりだ」と述べていたが、その言葉に反する形となった。今後、タリバン側がアフガンに残る米国人を、米国から譲歩を引き出す交渉手段として用いる可能性も指摘されている。

 バイデン氏は、「統合参謀本部とすべての現地司令官は全員一致で退避作戦の終了を進言した」と説明。また、タリバンは安全な出国を約束してきたとし、「世界は彼らにその約束を守らせるだろう」とも強調した。バイデン氏は31日午後(同9月1日午前)に国民向けに演説するとした。

 一方、タリバンは「完全な独立を勝ち取った」と宣言した。アフガンが再び米国に向けたテロの拠点となる懸念も残っている。

 バイデン政権が8月末の全面撤収を目指す中、タリバンの侵攻が予想を上回るペースで進み、8月15日には首都カブールを制圧。米国が支援してきたアフガン政府軍は崩壊し、ガニ大統領は国外に逃亡した。

 多くの米国人や協力者がアフガン国内に取り残された形となり、その後の退避作戦のさなかで米兵13人を含む多くの死傷者を出すテロ事件が発生するなど混乱を極めた。

 過去20年間のアフガン戦争で米兵2461人が死亡し、アフガン人兵士と民間人を合わせて10万人以上が死亡した。米ブラウン大学によると米国は同戦争に関わる経費として2兆㌦以上を費やしたとしている。

(ワシントン・山崎洋介)