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高まる米軍需品の中国依存


国内回帰への認識強まる

 中国など外国企業が米国の防衛産業のサプライチェーン(供給網)に浸透していることが明らかになっている。米政府は今後、軍需品の生産を国内に戻す「リショアリング(国内回帰)」という課題に直面することになるが、その受け皿となる新興企業や中小企業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で受け入れが困難なのが現状だ。

 国防当局者、防衛企業幹部らは、この1年で兵器、車両、電子機器など軍装備品の生産の重要部分を「リショア」する必要性への認識が強まったと指摘する。

 供給網の海外依存はすでに、米国の外交、安全保障に広範囲な影響を及ぼしているという。それが如実に表れたのがステルス戦闘機F35製造計画へのトルコの部品供給だ。トルコはロシアの迎撃ミサイル導入を受けて計画から外されたが、米国内企業では製造量、コスト面でトルコに代わることができず、今も一部の部品をトルコ企業に依存したままだ。

 一方で、中国企業への依存が強まり、米国の軍需品の「下層レベル」で中国製品が存在感を増している。両大国間で「デカップリング(分断)」が進む中、両国関係がさらに悪化すれば、米国の防衛部門に対する中国の影響力が危険な水準にまで高まる可能性も指摘されている。

 有力データ分析会社「ゴビーニ」によると、2013年~19年に防衛産業供給網に関わる中国企業の数は約4・5倍に増加した。

 ゴビーニによると、中国企業が増加しているのは、ほとんどが生産ラインの下層部分。国防総省の装備品供給元の「レベル1」は80%以上が米国内にあり、数十億㌦規模の契約で完成品を供給する大企業だ。しかし、その下の四つのレベルで米企業が占める割合は半分以下。これは、大企業に部品を供給する下請け企業の大部分が国外にあることを示す。

 アナリストらは、感染拡大によって企業が苦戦を強いられる中、今のところリショアリングは困難と指摘する。外国企業に取って代わることが期待される中小企業が業績悪化などで苦境に立たされているからだ。

 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)防衛産業構想グループのグレゴリー・サンダース研究員は、「弱体化するのはいつも下層レベルの企業」であり、国内中小企業による防衛産業の代替が一層困難になっていると指摘した。

(ワシントン・タイムズ特約)